施工前・施工中・施工後の写真は何を撮る?現場写真の撮り方・整理方法
施工前を撮り忘れた、アップばかりで場所が分からない。そんな困りごとを減らすために、工程ごとの撮影ポイントと写真の整理方法を紹介します。外まわりの補修や設備工事の例、即レポートの実画面も掲載。

工事を終えて写真を見返したら、完成写真はたくさんあるのに、工事前の状態が一枚もない。傷のアップは撮ってあるけれど、どの場所だったか思い出せない。そんな経験はないでしょうか。
忙しい現場では、作業を止めて写真を撮るのもひと手間です。だからこそ、撮る枚数を増やす前に「どこで、何を残すか」を決めておくと、後の報告が楽になります。
目安は、施工前に元の状態、施工中に隠れる部分、施工後に仕上がった範囲を残すこと。 外まわりの補修でも、設備交換でも、この三つを押さえると工事の流れが伝わります。
まずは、施工前・施工中・施工後の役割を分ける
完成写真だけでは、もともとの不具合や、仕上げの下で行った作業までは分かりません。例えば手すりの塗装なら、塗り終えた写真に加えて、塗膜の剥がれや下地処理後の状態があると、何をしたのか説明しやすくなります。
最初から細かく覚える必要はありません。まずは、次の表を現場での目安にしてみてください。
| タイミング | 写真で伝えたいこと | 撮っておく例 |
|---|---|---|
| 施工前 | どこに、どんな不具合があったか | 作業場所の全体、不具合の細部、周囲の状態 |
| 施工中 | どのような作業を行ったか | 撤去後、下地処理後、仕上げると隠れる部分 |
| 施工後 | どこまで直し、どう仕上がったか | 施工範囲の全体、交換・補修した箇所、確認した状態 |
これは日常の修繕・報告を考えるための目安です。提出先から撮影箇所や枚数、黒板、原本の保存方法などの指定がある工事は、その条件を先に確認しておきましょう。
施工前は「全体・対象・細部」をひと組に
不具合を見つけると、ついそこへカメラを近づけたくなります。アップは必要ですが、それだけでは「どこの写真?」となりがちです。
少し離れて全体を撮り、対象へ近づき、最後に細部を撮る。 この順番なら、現場にいなかった人も場所を追いやすくなります。
洗面台の漏水なら、洗面所の中の洗面台、扉を開けた配管全体、水がにじんでいる接続部分。外まわりなら、建物と手すりの位置関係、手すり全体、塗膜が剥がれている箇所、という具合です。

作業箇所のまわりも、触る前に残しておく
撤去する部材だけでなく、近くの壁や床、建具なども一度見ておきます。既存の傷や汚れがあれば、作業に入る前の写真が後から状態を確かめる手がかりになります。
撮る範囲をむやみに広げる必要はありません。工具を置く場所、部材を運ぶ経路、養生する範囲など、今回の作業で関わるところを押さえると考えやすいです。
施工中は「次に進むと見えなくなるもの」から
施工中の撮り忘れは、現場を離れるときに気づいても間に合わないことがあります。床板を戻した後の下地、埋め戻した後の配管、仕上げ材の下の防水層。完成写真を何枚撮っても、その中は写りません。
そこで、隠す・覆う・埋める作業の前に、必要な写真を確認するようにします。「最後にまとめて撮る」より、工程の区切りに撮影を入れるほうが忘れにくくなります。
例えば、外部の木製デッキを補修するなら、床板を戻す前の下地や接合部。塗装なら、仕上げ塗りで見えなくなる下地処理の状態。設備交換なら、古い機器を取り外した直後の状態などです。

一つの工程につき一枚で足りるとは限りません。全体と接合部など、確認したいものが別なら分けて撮ります。撮影のために危険な場所へ入らず、安全な位置で作業を止めて記録することも大切です。
材料の型番や寸法は、必要なときに読める形で
「どの製品を取り付けたか」が必要な工事では、材料全体に加えてラベルや銘板も撮っておきます。設備の型番や塗料の製品名などは、箱を捨てたり機器を設置したりすると読みにくくなることがあります。
寸法を伝える場合は、測る箇所とスケールの目盛りが一緒に分かる写真にします。目盛りだけのアップでは、どこを測ったのかが伝わりません。
公共建築工事向けの国土交通省「営繕工事写真撮影要領」でも、工事名・撮影部位・寸法・施工状況など必要な情報を記録し、工事種目や分類ごとに整理する考え方が示されています。民間の小規模工事へ一律に当てはめるものではありませんが、「後から何を確認するか」を考える参考になります。国土交通省の撮影要領を見る
施工後は、全体を撮ってから施工前と見比べる
工事が終わったら、まず仕上がった範囲全体を一枚。そこから補修箇所や交換部材の細部へ近づきます。
手すりなら、塗り直した部分のアップだけでなく手すり全体。外壁の部分補修なら、補修面に加えて建物のどの位置か分かる写真。照明器具の交換なら、器具と設置場所が分かる写真も残しておくと報告に使いやすくなります。
施工前後の変化を見せたいときは、スマートフォンで施工前の写真を開き、立つ位置と向きをできるだけ合わせてみてください。同じ背景が入るだけでも、比較しやすくなります。
ただ、毎回同じ位置から撮れるとは限りません。足場や養生、作業範囲が変わることもあります。比較できる案件は前後を並べ、工程の説明が中心の案件は写真を順に見せる。 写真に合わせて報告の形を選べば大丈夫です。
また、写真だけで動作や性能をすべて伝えることはできません。通水、点灯、開閉などを実際に確認した場合は、何を確かめたかもコメントへ残します。
現場では、写真の「枚数」より「読めるか」を確認する
撮った直後に一度画面を開くと、その場で撮り直せます。特に暗い場所や細かいラベルは、縮小表示で見えていても、拡大するとぶれていることがあります。
- ピントと明るさ:不具合や目盛り、型番が読めるか。必要なら照明を足して撮り直します。
- 写す範囲:指や工具で対象が隠れていないか。アップには場所が分かる写真も添えます。
- 似た写真の重複:同じような十枚より、全体と細部がそろっているかを先に見ます。
- 関係のない写り込み:郵便物、表札、顔など、報告に不要な情報が入っていないかを確認します。
工事記録として必要な元写真は残し、共有する写真を選ぶときにも提出先の条件を確認しましょう。
帰る前の確認と、隠す前の確認を分ける
片付けが終わったら、短時間でも今回の写真を見返してみてください。施工前・施工中・施工後があるか、全体と細部がそろっているか、完成状態は読めるか。この確認で、まだ撮れる写真の不足に気づけます。
ただし、下地や埋設部などの写真は帰る前では遅いことがあります。見えなくなる部分はその工程で確認し、現場を離れる前に全体を見直す。 この二つを分けておくのがポイントです。
整理は「案件・場所・工程」、コメントは確認したことを
午前にA現場、午後にB現場、翌日にまたA現場。カメラロールの撮影順だけを頼りにすると、報告書を作るときに探す時間がかかります。
整理するときは、まず案件で分け、その中で「玄関手すり」「南側外壁」「洗面所」のように場所をそろえ、施工前・施工中・施工後へ並べると流れを追いやすくなります。これは整理の考え方なので、使っているアプリに場所別のフォルダーがなければ、写真のコメントに場所を書くだけでも役立ちます。
コメントも「施工前」「施工後」だけで終わらせず、写真だけでは分からないことを一文足します。
| 写真 | コメントの記入例 |
|---|---|
| 施工前 | 玄関手すり。握り部分と支柱の根元に塗膜の剥がれを確認。 |
| 施工中 | 玄関手すり。下地処理後、補修箇所にさび止めを塗布。 |
| 施工後 | 玄関手すり。仕上げ塗装が完了。塗り残しと周囲への付着がないことを確認。 |
例文は、実際に行った作業や確認に合わせて変えてください。書いていない作業を写真から推測して足す必要はありません。
即レポートでは、写真を分けてから報告の形を選べます
ここからは、即レポートの実際の操作画面で紹介します。画面内の案件・会社・写真は説明用のサンプルです。
1.施工段階ごとに写真を追加する
写真は「施工前」「施工中」「施工後」「その他(材料等)」に分けて追加できます。現場で撮った写真を該当する区分へ入れ、場所や作業内容をコメントに残します。

2.前後を比べたい案件だけ、比較形式にする
同じ場所の施工前後を見せるなら、報告書の写真の型で「施工前・施工後の比較」を選び、組にする写真を指定します。別の場所の写真が自動で正しい組になるわけではないので、対象を見ながら選びましょう。
比較が不要なら、通常の「写真一覧」で工程順に見せられます。全部の工事を無理に前後比較へそろえる必要はありません。

3.PDFで、相手に伝わる並びになっているか確認する
写真とコメントを入れたら、PDFで仕上がりを確認します。前後の組み合わせが合っているか、場所が分かるか、コメントが実際の作業と合っているか。提出する相手の目線で一度見直すと、説明の足りないところを見つけやすくなります。

次の現場では、撮る区切りを一つ決めてみる
いきなり撮影のルールを増やすより、まずは「触る前に全体を撮る」「隠す前に確認する」「帰る前に写真を見返す」の三つから始めてみてはどうでしょうか。
写真がそろっていれば、報告書を書くときに現場の状況を思い出しやすくなります。現場にいなかった相手にも、どこを直して、どんな状態になったのかを伝えられます。
写真を撮るところから報告書まで、一度つなげて試したい方は、即レポートの写真付き報告書もご覧ください。
参考にした情報・出典
- 国土交通省「営繕工事写真撮影要領」令和5年改定 — 工事写真の撮影・整理(1〜2ページ)。公共建築工事向けの要領として参照。